
|
だからわれわれは推定しなければいけないのです。何とも言えないだるさとか、身の置きようがないだるさというのが貧血が非常に強くてそうなっているのか、ヘモグロビンが落ちて、あるいは血清蛋白がうんと下がってしまっているからか、また身の置き所のないような感じには鬱血性心不全のための、あるいは肺水腫のような状態がきているためなのか、出血があったり低蛋白があったりビタミン不足があったりして、生きる気持ちがなくなってしまっている、もう自分は自分のベストを尽くしたんだからもう死んでもいいというような気持ちを持てば、もっと精神的に元気を出す人と、逆に腰を抜かす人がある。だからこれからの私たちの研究というのは、どうしようもない、身の置きようがないというのは血圧の状態、酸素の状態、低蛋白の状態、無気力の状態、人を信用しない状態、こういう不眠の状態といったさまざまなことの多因子分析をすることです。多変量解析をしてもう少し言葉をはっきり定義しなければなりません。
今日昼休みに私はある患者さんのところに行ったのです。朝から彼女は私が来るのを待っていたというのです、私に抱きつくようにされた。呼吸困難で喘息のような状態だったのですが、そこで腹式呼吸を教えたのです。『私と一緒にしましょう』それをずっとするうちに吸気のひゅうひゅうという音がなくなった。
みなさんは体がだるいというのを、ただだるいとか違和感と書くのではなく、知的にそれを表現する。それはどういうことなのかと、もう少しその人に考えて発言させる、そういうことをしなくてはならないのです。暖昧な症状に対する処置は少ないと思いますけれども、まず第一にどういうことがそういうひどい苦痛を起こすかという基本的な生理学をまず知らなくてはならないし、そこに心理的・精神的なものが抜けていないかどうかを想定しながら、どういうようにもっていけばいいかということを一つ一つ実験しなければならない。私は先ほどの呼吸困難の患者さんの酸素の管を取ったのです。
酸素を取ったらかえってひゅうひゅうすることは少なくなって呼吸数は減っているのです。落ち着いているのです。そういうようなことをチャートに書いて、私たちは経験を積まなければいけないと思います。これはしょっちゅう患者さんを見ているナースの仕事であって、ドクターはそこまで考えることはできないと思いますから、どうぞナースの方はよく観察して下さい。ナースもそんなに長くは患者さんの側にいられないときにはボランティアの手を借りて足をマッサージしたり触ってあげる、そしてつらい思いを感じをとってあげる。患者さんが壁のほうを向いて苦しそうにしていてもその後ろに立っていてくれてるんだということを患者さんが意識する。これはオスラーが言っていますね、苦しい患者にやたらにこっち向きなさいと言うな、壁に向いているその後ろに無言で立っている存在がその患者には必要だと手を出すばかりがナーシングではなくて、黙って後ろに立ってあげることが患者の支えになるのです。私たちは一つ一つの行動で少しでも真実に近づくようにしなくてはならないと思います。
−たとえば一般の方から見れば同じような書状態でも、私たち専門家から見ますとそれが内因牲のものなのかホルモンのインバランスなのか、それとも脳のケミカルのインバランスなのかということがわかってくるわけです。いまのような倦怠感もはたしてどこからきているのか、精神科医とか心理学者が評価するならばどのへんが原因なのかをナースあるいは医師とともに、精神科医、心理学者のアプローチが可能になってくるのではないかと思います。
日野原 ホスピスや緩和ケア病棟の患者さんからはそんなに血液を採って検査をしたりはできないので、私たちは臨床的にそれをやらなくてはいけないわけですね。医者が一日に一回しかみないのだったら24時間後にはどう変化したかということです。ナースはそれを継続して三交代、二交代している、そのバトンタッチを本当にうまくしているかどうか。だから共通語で書いてもらわないといけない。そういう意味でチャートはなるべくフローシートを使いながらバトンタッチをしていくことが必要だと思います。
Andrew たいへんよいご意見をありがとうございました。
前ページ 目次へ 次ページ
|

|